「世界がはじまる朝」黒田晶

メイドインジャパン」というラリッた猟奇作品でデビューした黒田晶27歳女の2作目は、その対極のメロウな恋愛小説でした。観想を一言で言うと、ミニシアターでした。「バッファロー’66」とか好きな人はきっと好きだと思います。
ストーリーは一日経つと昨日の事を忘れてしまう病気の主人公と、その恋人ケイゴの話です。多分内容云々より、ところどころの情景を楽しみつつ読む本なのだと思います。恋愛小説とか読みなれていない人には全く受け付けないかもしれません。私も読みなれていないのでそんなに入り込めませんでした。でもシンクロできたらきっと心地よい作品なんじゃないでしょうか。文体は口語体?というのかどうなのか分かりませんが、つねに主人公が語っているような文で、一見なんだこりゃって思うかもしれませんが、これって書こうと思うと結構難しいんですよね。全体を通してこの語り口を続けられるってのは凄いと思いました。そんなわけで時間に余裕があって浸りたい方にはお勧めです。

追記:公式サイトの掲示板で本人がレス返したりしてる!しかも掲示板がtcup!別にいいんだけどさ。