「オンリー・チャイルド」ジャック・ケッチャム

jikishi2004-06-16

きっとこの作者は、誰よりも他人の気持ちが分かる人なんだと思う。これは別に思いやりとかそういう意味じゃなく。だから、こんなに胸糞の悪くなるような本を書けるんだろう。でも、ついつい読んでしまう。煙草の様なものかもしれない。
アーサーとリディア。二人が出会わなければ、こんなことには…。1953年、アーサーはこの世に生を受けた。母親からの虐待を受けながら育ったアーサーは、狡猾な悪ガキへと成長していった。大人になってからも、アーサーは邪悪な感情を秘めたままだった。その後、内気な女性リディアと知り合い、彼女は不安を残しつつもアーサーと結婚。だが、彼は変態セックスを強要したり、しだいに凶暴な性格を表していく。抑圧された日常の中、彼女は一人息子ロバートに愛情を注ぐが、ロバートもまた奇妙な動作や習癖を見せ始める―。(アマゾンレビューより)
本を読むとき、私は常にハッピーエンドを期待している。推理小説なら犯人が暴かれるし、ノンフィクションでも筆者は今は普通の生活を送っているといった、そんな終わり方を期待している。でもこのケッチャムという人に関しては、そんな期待は捨てた方がいい。だから、精神状態の不安定な人にはお勧めできない。
内容も最悪なら、終わり方も悲惨だ。それは前読んだ「隣の家の少女」でよく分かった。それでも、読んでしまう。なんなんだろうこの人は。
世間は理不尽なことで溢れている。それを文章化するのは本人にとっても辛い事なのだろう。人間の想像力には限界がない。だから実際に行動するよりも、実は想像の方が残酷だ。想像と現実を完全に切り離して考えることができるのなら、想像というやつは最高に残酷で、楽しい。
なんかだんだんおかしなこと書いてるな。まあそんな気にさせる本だった。